日本人の感謝は人だけでなく死者やモノ、コト、空間にまで捧げる (1/3ページ)

心に残る家族葬

日本人の感謝は人だけでなく死者やモノ、コト、空間にまで捧げる

日本人の心性を代表するものに「感謝」がある。神社仏閣、ビジネスの現場から街角、果ては誰もいない道場や野球のグラウンドに至るまで、あらゆる場所に日本人はお辞儀をし感謝の心を捧げてきた。こうした日本の礼儀は海外でも注目され、先のラグビーワールドカップでは海外の選手が開催国日本の「オモテナシ」への感謝として、観衆に向かってお辞儀をする光景が話題になった。この感謝の心は死者に対する祈りにも含まれており、一方で西欧ではその対象は異なっている。

■「死者」への感謝

葬儀や法事、墓参り、仏壇などへの日々の祈りに込められた思いには様々なものがある。以前、墓参りの意味について書いたことがあるが、死者への思いの中でも日本人の心性には日々の「感謝」の心が存在する。かつてお世話になったことへの過去形の感謝だけではなく、現在の日々の生活への感謝である。すでに死んでしまった故人に何を感謝するのか。

多くの日本人はそのような疑問は持たない。我々は彼岸にいる家族や友人恩人が、日々の生活を見守っててくれていると感じるし、彼らに感謝するのは当然だと思う。これは理屈ではない。故人・先人のおかげで我々は生きているという思いから感謝の心が生まれる。そして仏壇を拝んだり、墓参りに際して、懐かしさや親しみの他に、感謝の念をもって手を合わせるのである。故人・先人への感謝の祈りは、神仏に捧げる祈りと同じ心性である。

■「モノ」や「空間」への感謝

感謝の心は人だけに向けられるものでない。日本には付喪神や八百万神などという多神教的宗教観が根付いており、長い年月を経たモノには命が宿るとされた。それだけでは怪談で終わりかねないが、それだけの年月を働いてくれたモノに対して感謝を捧げる気持ちが向けられるのである。

「針供養」という行事がある。折れたり錆びたり使えなくなった針を豆腐やこんにゃくなどに刺して供養する行事である。東日本では2月8日、西日本では12月8日に行うことが多い。長年働いてくれた針を柔らかい豆腐に刺して休んで頂くというものだ。

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