人は光がないとどうなるのか?暗闇が人間の体と脳に及ぼす影響を体を張って研究した科学者 (1/6ページ)
1962年、フランスの時間生物学のパイオニアとなった科学者のミッシェル・シフレ氏は、地下生活をスタートさせた。シフレ氏は、自分を含めた人間の被験者を洞窟の暗闇の中に数ヶ月ひとりにさせたらどうなるかという実験をしたのだ。
時計もカレンダーもなし、日々の身体検査以外は外界との接触なし、目覚めたとき点灯し、眠るときには消灯する一個の電球以外、まったくの暗闇の中で過ごす。シフレ氏が再び太陽の光を浴びたのは、その6カ月後だ。
暗闇は人体にどんな影響をもたらしたというのだろう?
・体内時計の存在に気が付く
シフレ氏の本来の目的は孤独を研究することだったが、この実験の過程で、人間は体内時計(概日リズム)をもっていることがわかったという。
体内時計(概日リズム)とは、人間の体が眠ったり目覚めたりするのをコントロールする体内のメカニズムのことだ。
自然光にさらされない洞窟の中では、体内時計は地上で生活していたときの24時間サイクルのリズムをやめてしまい、時間の感覚が狂ってしまう。36時間起きていて12時間眠る、48時間サイクルになってしまうこともある。
実験が終わったとき、被験者たちは驚いた。洞窟に籠り始めてからまだそれほど時間がたっていないと信じ込み、予定の期日までまだ数週間、あるいは数ヶ月も残っていると思っていたからだ。
シフレのこの研究は、時間生物学という分野を生み出した。この学問が、どうして暗闇が人間の体や心にこのようなはっきりした影響を与えるのか、その説明になるかもしれない。