気分だけでも春を感じて。詠み継がれる日本の心「桜」がテーマの和歌おすすめ8首を紹介 (3/6ページ)
桜花(さくらばな) 今ぞ盛りと 人は言へど 吾(あれ)は寂(さぶ)しも 君としあらねば
※『万葉集』より、大伴池主(おおともの いけぬし。生年不詳~天平勝宝九757年没)
【意訳】桜の花が満開だとみんな喜んでいるが、あなたと一緒でない私には、ただ寂しいだけだ。
この「君」とは、彼の想い人であった大伴家持(おおともの やかもち)と言われており、他にも「春の花を一緒に手折って、あなたの髪に飾りたいものだ」という和歌も残しています。
願はくは 花の下(した)にて 春死なん そのきさらき(如月)の もちつき(望月)のころ
※『山家集』より、西行法師(元永元1118年生~文治六1190年没)
【意訳】出来ることなら、人生の最期は旧暦2月の十五夜、満開の桜の下で迎えたいもんだ。
桜にまつわる和歌と言えば、こちらが定番。死という人生で最も寂しい瞬間こそ、最も華やかに迎えたいもの。結局、みんな独りなのですから。