気分だけでも春を感じて。詠み継がれる日本の心「桜」がテーマの和歌おすすめ8首を紹介 (5/6ページ)

Japaaan

長治元1104年生~治承四1180年没)

【意訳】山深い木々の中、その梢に花が咲いたので、ようやくその樹が桜だと見分けられた。

桜は咲かねばそれと判らぬ……武士は戦わねばそれと判らぬ……穏健で争いを好まず、限界まで平和主義を貫いた彼が、最後の最後で「武士の意地」を示した人生を表しているようです。

桜も武士も、散り際こそが美しい……彼の志は、後に武士の世を築く礎となりました。

山峡(やまかひ)に 咲ける桜を ただ一目 君に見せてば 何をか思はむ

※『万葉集』より、大伴池主(おおともの いけぬし。生年不詳~天平勝宝九757年没)

【意訳】山の中に咲いているあの桜を、一目でいいんだ。あなたに見せることが出来たなら、もう何も思い残すことはありません。

あなた、とはやはり大伴家持。よっぽど彼の事を愛していたのでしょうね。後に橘奈良麻呂(たちばなの ならまろ)の乱に加担した罪で獄死した池主は、最期まで自分の事よりも彼の幸せを案じ続けたことでしょう。

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