気分だけでも春を感じて。詠み継がれる日本の心「桜」がテーマの和歌おすすめ8首を紹介 (6/6ページ)

Japaaan

桜さえ存在しなければ、こうまで春に心惑わされはすまいものを……。

世の中に たへて桜の なかりせば 春の心は のどけからまし

※『古今和歌集』より、在原業平(ありわらの なりひら。天長二825年生~元慶四880年没)

【意訳】もし、この世から桜がなくなってしまったら、春はもっと穏やかな季節になるだろうね。

美しく咲いて心を浮き立たせ、儚く散っては心を惑わせる。古来日本人の心情を大きく揺さぶり続けた桜の花さえなくなれば、春はどれだけ平和な季節に……そして味気なくなることでしょうか。

何があろうと、今年も春がやって来る。これまでも、これからも。詠み継がれる桜の花は、日本人の美意識に強く訴え続けます。

※参考文献:
佐竹昭広ら校注『万葉集』岩波書店、2013年1月16日
久保田淳『久保田淳著作選集 1 西行』岩波書店、2004年4月6日
与謝野晶子『みだれ髪』新潮文庫、2000年1月1日
松田武夫校訂『後撰和歌集』岩波文庫、1945年2月15日
川村晃生ら『金葉和歌集 詞花和歌集』岩波書店、1989年9月20日
佐伯梅友校註『古今和歌集』岩波文庫、1981年1月16日

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