科学者が生み出した悪魔を科学者がエクソシストとなって挑む。思考実験「マクスウェルの悪魔」の顛末 (2/5ページ)

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photo by Pixabay

・科学者が生み出した「マクスウェルの悪魔」

 ”ほぼ”と断っているのは、1867年にスコットランドの物理学者ジェームズ・クラーク・マクスウェルが厄介な存在を誕生させてしまったからだ。

 その存在(あるいは思考実験)は「マクスウェルの悪魔」と呼ばれている。

 マクスウェルは次のような状況を想定した。気体が充満する部屋に小さなドア付きの仕切りをつくり、2つの区画に分ける。もちろん気体は小さな1つ1つの粒子によってできている。

 この気体の温度を決めているのは、個々の粒子の平均的な移動速度だ。速く移動すればするほど高温ということになる。ただし個々の粒子を調べてみれば、それぞれの移動速度は必ずしも同じではない。遅いものもあれば、速いものもある。

 ここで噂の悪魔が登場する。悪魔は仕切りのドアの前に陣取り、左の区画から速い粒子が飛んできたらドアを開けて右側の区画に放り込む。右側の区画から遅い粒子が飛んできたら、同様にして左側の区画に放り込む。

 しばらくすると、右区画は素早く移動する粒子だけでいっぱいになった。左区画は遅い粒子だけだ。当然、右区画の温度は高く、左区画は低くなる。

 ところが... 2つの区画は最初の状態よりも秩序立って見える。

 先ほど述べたように、熱力学第二法則によってエントロピーの減少はないとされている。神に叛逆する悪魔だ。神が創造した宇宙の法則にも逆らってみせたということなのだろうか。
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