科学者が生み出した悪魔を科学者がエクソシストとなって挑む。思考実験「マクスウェルの悪魔」の顛末 (5/5ページ)

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・悪魔のギャンブル

 さらに今年『Physical Review Letters』に掲載された研究では、悪魔はギャンブラーにまで身をやつした。

 この研究では、やはりドア付きの仕切りで区切られた2つの区画が登場する。だが、ドアは自動で開閉する。なので、粒子はランダムに勝手に区分される。

 悪魔にできるのは、ただそれを眺めて、どこかのタイミングでシステムを停止させることだけだ。

 理論上、これによって温度の小さな不均衡が生じるので、悪魔がタイミングよく停止して、熱の不均衡を封じ込めることができれば、便利な熱機関になる。それはちょうど、うまい具合にゲームを降りて、勝ち逃げするギャンブラーに似ているのだとか。

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・悪魔は科学のコンセプトに

 こうしたアイデアは、ランダウアーの原理が定める根本的な限界に近づくことを可能にし、冷蔵庫のような熱システムの効率性を高めたり、高度なコンピューターチップの設計に役立つ可能性がある。

 かくして神の摂理に挑んだ科学者が生み出した悪魔は、科学者によって手懐けられ、物理世界と情報とのおどろくべき結びつきを示す貴重な科学的コンセプトとなったのだった。

References:Abstractions on Nautilus: How Maxwell’s Demon Continues to Startle Scientists/ written by hiroching / edited by parumo
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