変人扱いされながらも仏道の悟りを開いた曹洞宗の僧・桃水雲渓 (1/5ページ)
東京都小金井市の東京学芸大学こども未来研究所内に、『変人類学研究所』が設けられている。この研究所は、「誰もが保持する生得的で個別の潜在能力・創造力を維持し、伸ばすための方法を模索するための、実践型の研究機関」である。
■変人類学研究所が定義する変人学とは
「変人学」とは、以下の通りである。
1.「変」という語に集約されてきたような異常性やマージナリティ(境界性)、マイノリティの持つ特異な視点が、社会・文化空間においてどのように扱われてきたのかを研究することにより、インクルーシブ教育(包摂する教育)に向けた基礎研究を促進する。
2.周縁化されたこども達の独自の能力の源泉や、その維持力・拡張力のメカニズムを明らかにし、急激に変動する現代社会に適合的な、次世代のクリエイティブ教育(=変人教育)の構築を目指す。
■偉人と変人は紙一重だがその後の人生は大きく異なる
一般に「変人」「変わり者」というと、どうしても周囲からのいじめや無視、今日のインターネット社会であれば、SNSにおいて、「過去のあら探し」または、全くの事実無根のエピソードなどを含めた誹謗中傷が、たとえ著名人に限らず、全世界に向けて容易に拡散され、「デジタルタトゥー」として永久に残ってしまう。そして「変人」「変わり者」とされた側は、「変人こそが社会を変革できた!」などと人々に称賛されるような、目ざましい事績を残すことができた人は多々存在する。
しかしその大半は、鬱・不登校・引きこもり・自暴自棄による様々なセルフネグレクト・自殺…など、必ずしも幸せとはいえない日々を過ごす、または生涯を送る羽目となった人々も少なくない。そういった不幸を未然に防ぐために、東京学芸大学における「変人類学」の今後の興隆・発展に期待したいところであるが、江戸期に「変人」だったからこそ、仏道の悟りを開いた人物がいた。「乞食桃水(こつじきとうすい)」とも称された曹洞宗の僧・桃水雲渓(とうすい うんけい、1610頃〜1683)だ。
■乞食桃水(こつじきとうすい)と称された曹洞宗の僧・桃水とは
桃水は筑後国柳河(やながわ、現・福岡県柳川市)の商家に生まれた。