大河「べらぼう」蔦重と誰袖それぞれの“夢” 〜本音と本音が溶け合ったあの名シーンを考察【後編】 (6/8ページ)
「かような格好でご無礼いたしんす」ときまり悪そうな表情の誰袖に驚いたように「あ、いや」という意知ですが、先ほどの怒りを爆発させた姿や、少女にように頼りなげになった素顔を初めてみて驚き、その意外性に惚れたのだと思います。
そんな「恋が芽生えたタイミング」で、吉原を訪れた松前藩江戸家老の呼出を受け、計画を悟らせぬため座敷に向かっていく誰袖。豪華な花魁姿のときよりも小さく見える後ろ姿を見て、改めて意知は「自分のせいで危険な真似(スパイ)をさせている。この女性を吉原の女郎化業から救い出したい」と本気で思ったのではないでしょうか。
スパイ行為がバレないように、惚れた男の前から、惚れてもいない松前廣年の座敷に向かわなければならないのが吉原の残酷さ。けれど、自身が背負った「責」は最後まできっちり果たす……そんな花魁に、漢気のようなものを感じる場面でした。
狂歌のやりとりで結ばれた二人の想い
その後、大文字屋を夜更けに訪れ誰袖を座敷に呼んだ意知は、扇を差し出します。
そこには「袖に寄する恋」という文字が。