『べらぼう』ていの家出に瀬川の名シーンが重なる…蔦重を巡る“三人の女”に隠された真意【前編】 (4/8ページ)

Japaaan

母上様のような客あしらいもできず、歌さんのような才があるわけでもなく……」

と理路整然と、家出の理由を語り出すてい。

「蔦谷の女将」は、自分のような融通の効かない世間知らずの女では務まらない。相応しいのは、そう、「吉原一の花魁を張れるような、華やかで才長けた方が相応しいと存じます」。

はからずも「吉原一の花魁」を思い浮かべ、口に出したてい。この瞬間、多くの視聴者の脳裏に瀬川の姿が鮮明に甦ったのではないでしょうか

もし「瀬川」が「耕書堂」の女将さんだったら……

もし、瀬川が蔦谷の女将だったら。

絵師や戯作者たち、太田南畝(桐谷健太)ら狂歌師たちとは、丁々発止と地口を入れながら、気の利いた江戸っ子らしい会話を交わし。

田沼意知(宮沢氷魚)のような身分の高い武士とは、鳥山検校に身請けされたときのような、礼儀正しく品格のある妻ぶりを発揮し。

ずぶとくて調子のいい母親のつよは、妓楼の亡八たちを相手にしているときのように上手にあしらい。

店で働く人々には、花魁時代のように気配りがある女将ぶりをみせたのではないか……などと想像してしまいました。

ていの「吉原一の花魁を張れるような、華やかで才長けた方」というセリフで、瀬川を思い出させる。多くの視聴者が「瀬川はどうなった?」という未練を引きずっているのを見透かすように、この時にこのセリフを入れてきたのが面白い脚本だな思ったシーンでした。

願わくば、ここで瀬川の存在を思い出させ、のちの回で、いい人と巡り会って幸せに暮らしている瀬川が、偶然人づてに入手した「耕書堂」の本を手に取り、「夢を叶えたんだね、重三」などと呟きながら微笑むという、そんな場面がでてくるといいなと思いました。

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