『べらぼう』歌麿が画名を「千代女」にした本当の理由…蔦重を巡る“三人の女”に隠された真意【後編】 (4/8ページ)
「蔦重を公私ともに支えられるのは俺だけ」という自負は、心の奥にあって離れない暗い過去を乗り越えるために必要だったのです。
そんな歌麿の前に現れたのが、蔦重と同様に本を愛するてい。歌麿がもう「自分は必要じゃないんじゃないか」と居場所がなくなる不安に囚われる気持ちは痛いほど分かります。
「唯一無二」の本物の家族ではないという悩み
歌麿という名も戸籍も、蔦重がくれた偽物。それに比べ、ていは結婚してこれから蔦重と家族を育んでいける「唯一無二」の妻。
誰もが認める、確固たる関係の「妻」というポジションと比較すると、歌麿は血のつながりもない儚い存在です。(基本、陽キャの蔦重の「お前は大切な弟だ!」という言葉だけでは、一抹の不安を感じていたはず)
同じく唯一無二の存在である「母」のつよに対しては、この人がいてこそ蔦重と出会え、自分が生き返ることができた……と思えますが、ていに関しては、突然現れ今までは自分の居場所だった「蔦重の隣」に座った人。「偽物の弟」の自分の立場を脆く感じたことでしょう。