『べらぼう』歌麿が画名を「千代女」にした本当の理由…蔦重を巡る“三人の女”に隠された真意【後編】 (7/8ページ)
けれども、筆者は、前述したように、歌麿の蔦重への想いは男性同士の「恋愛対象」といより、「子が“親”に持つ無償の愛」だと感じます。
「自分が一番大切な存在でいたい。自分のことを愛してほしい。そばにいたい」
と、一途に願う(というか「乞う」)想い だと感じました。
けれども、「唯一無二」で「一番」の家族“妻”というポジションにはなれない。
そんな心情から出たセリフだったと思っています。
「歌麿門人 千代女」と署名したのは、そんな自分の心情をそこに書き残し、「蔦重から親離れしよう」という決意も込められていると感じました。
もちろん、そんな歌麿の心の動きなどは何も気が付かない、いつも通りの鈍感な蔦重でした。
たぶん、人の心の機微に長けていた平賀源内(安田顕)なら、この歌麿の感情はすぐに理解してくれ、彼の心が軽くなるような粋な言葉をかけてくれたことだろう……と、源内先生の不在が惜しまれました。
史実では美人画の大家となるものの史実では、版元としての基盤を築き上げた頃、蔦重は鳥山石燕(片岡鶴太郎)門下であった絵師の歌麿と出会います。その後十数年、蔦屋の専属絵師として歌麿は活躍していたそう。