『べらぼう』幻の英雄・佐野政言が歪めた真実。ついに意次・誰袖・蔦重の「敵討ち」が始まる【前編】 (3/9ページ)
田沼屋敷に運ばれた瀕死の意知。志半ばに無念にも逝かなければならなかった今際の際に、せめて誰袖が寄り添っていればと思った人は多いでしょう。
幸せになるはずだった二人の未来を奪った佐野。けれども、父親の介護に疲弊し何事もうまくいかず孤独に悩んでいた彼が、デマを吹き込まれた挙句に「田沼憎し」へと駆り立てられ、凶行に走ってしまった……その経緯を思うと、単純に佐野憎しにもなれません。
「覚えがあろう!」「覚えがあろう!」と、意知に刃を向け詰め寄る佐野ですが、意知に言うというよりも、その言葉で自分自身を鼓舞しないと“佐野家を軽んじ陥れた田沼家に敵討ちをしてやる”という決意が鈍ってしまう……と思っているような辛い展開でした。
江戸市中では「今の生活苦はすべて田沼のせい」と悪評が立っていただけに(浅間山の大噴火や冷害は田沼のせいではないにも関わらず)、意知を斬った佐野はまるで救世主のような扱いになります。