『べらぼう』より攻めたお上批判を!運命が大きく変わる“抗う道”を選んだ蔦重とチーム蔦重たち【後編】 (8/9ページ)
筆者は個人的には、蔦重が知と書で大きな権力に抗う道を選んだのは “間違い”ではなかったと思います。うまくいかなかったことは決して「間違い」ではないと……。
闇に葬られた平賀源内、斬り殺された田沼意知、幸せを奪われた誰袖、自分の身代わりに殺された新之助、追いやられた田沼意次……大切に思っていた人々の人生が陰謀によって奪われていったことは、蔦重にとって決して許せることではないはず。
「書を持って世に抗う」ことを決めたのは、それらすべての無念がベースにあってのこと。もし、ここで妻・ていの忠告を受け「ここは世論に受けるように、松平を褒める本を出したほうがお咎めもなく金も儲かる」という方向に進んでいたとしたら。
その選択は人によっては「正しい」と感じるのかもしれません。けれども、もし蔦重がその選択をしていたら、ここまで注目されなかったのではないでしょうか。(もちろんドラマ化にもならなかったかと)
蔦屋重三郎という人物が、現代まで語り継がれるほどの名プロデューサーとなったのは、アイデアマンで有名なクリエーターをたくさん育てただけではなく、自分の武器である「書」でおかしな「世に抗う」という一本筋を通したその生き方にあったのではないでしょうか。