『べらぼう』暴走する蔦重と定信をたしなめる人々と、「そうきたか!」な蔦重マジック【後編】 (6/8ページ)
これからを案ずる皆の間で「借金も半分持っていってくれねえですかねえ」と軽口を叩き、「ほんと…ほんと、そういうところですよ!!」と、鶴屋喜右衛門(風間俊介)に、厳しく叱られます。にもかかわらず、誰も蔦重に「もう無難な本しか作るな!」とは言いません。
お上に逆らい店を潰したくはないものの、黙って従っているだけでは江戸の文化やエンタメは廃れてしまう。守りたい思いは皆同じ。
自由な出版のため、体を張って「戯けて」みせた蔦重のことは、皆、暴走するものの行動する男だと認め、期待をかけてもいるのでしょう。蔦重が今まで、日本橋のために努力してきた功績も皆忘れるはずはありません。
鶴屋の旦那も蔦重の軽口を厳しく叱りつつも、無事に帰ってきてほっとしている感じもしました。
さて、「身上半減」の罰が下された当日。お上は、在庫の書籍や売り上げなどの財産を半分没収するだけではありませんでした。
版木、看板、のれん、品札、畳まで、実際に「半分」に切って没収。実にいやらしいやり方です。のれんや看板など持って帰っても何の役にも立たないのに律儀に半分にして持っていくのは、あきらかに「ご公儀に逆らうとこういう目にあうんだぞ」という庶民への見せしめでしょう。
ていも耕書堂のスタッフも、物理的に「半分奪われ」強盗が押し入ったよりもひどい状態になった店を見てショックを隠しきれません。さすがの蔦重も呆然。精神的に応えたようです。
空気を大きく変えた「屁」の力と「そうきたか!」の力ところが、ここからが今回は大きな見せ場となりました。
修復不可能と思われるような絶望的な状態な店を見て、「いやあ〜これは本当に『半分』だねえ」と不謹慎なほどに大爆笑しながらやってきたのは、太田南畝(桐谷健太)でした。
江戸や狂歌から遠ざかっていた南畝が、久々に耕書堂を訪れたのでした。