名古屋妊婦切り裂き殺人事件 前編 (2/5ページ)
彼女の腹部が切り裂かれ、胎児が取り出されていたという猟奇殺人事件だ。
その現場は、近鉄名古屋線の名古屋駅から各駅停車で6つ目、近鉄戸田駅より徒歩10分足らずの場所にあった。名古屋の都心からほど近いベッドタウンだが、駅は郊外の小さな駅といった雰囲気で、その周辺は静かな住宅街だった。
「資料を見ると、当時はもう少し空き地や畑が多かったみたいなんですが、いまは住宅ばかりですね」(担当編集・スガちゃん)
事件当時の新聞に掲載された略地図を頼りに現場を探すが、アパートばかりで、なかなか見つからない。はたして事件が起きたアパートは現存しているのだろうかという思いがよぎる。
通りがかった喫茶店で取材の旨を話すと、店の主が事件を覚えていた。現場はほんの少し先だという。
赤ん坊のいたお腹には電話と人形が
言われたまま、しばらく歩くと、アパートに辿り着いた。現場は当時の写真のままの姿で残っていた。
その建物を見て、北芝氏が言った。
「これは狙いますね、プロの空き巣が……」
アパートは2階建て、各階に2部屋ずつ4部屋しかない小さな建物だ。もちろんオートロックなどではなく、2階へ上がる外階段は通りから奥まった位置にあり、直接、各部屋の玄関に通じている。
反対側はと言うと、ベランダには足をかけられる箇所も多くあり、雨どいを伝って容易に上ることができそうだ。言われてみれば、確かに泥棒が入りやすそうな構造だとも言える。
第一発見者は、Mさんの夫・Sさん。彼が19時40分頃に帰宅したときだった。電気が消え、玄関の鍵が開いていたことを不審に思いながらも、帰宅してすぐに寝室で着替えていると、赤ん坊の泣き声がしたという。
そこで居間に駆けつけ、電気をつけると、変わり果てた妻の姿と生まれたばかりの子供の姿があった。
両手を後ろ手に縛られ、首にはコタツのコードが巻きつけられて息絶えていたMさん。その腹部は、みぞおちから下腹部にかけて、鋭利なカッターナイフのような刃物で38㎝も縦一直線に切り裂かれていた。赤ん坊が入っていたお腹には、電話の受話器とキーホルダーの人形が詰められていたという。