解剖学がなかった時代、昔の人が人体に住んでいると考えていた10の奇妙なモノ (2/9ページ)

Amp.



2. プネウマ(気)

出典: karapaia

体の5大システムは、動脈、静脈、骨格、神経、筋肉。ガレノスが表わした『Salomon Glossaries』より。バイエルン州立図書館蔵、ドイツ、ミュンヘン、1158年と1165年

 西洋医学の父、ヒポクラテス(紀元前460~370年)と彼の後継者たち、とくにプラクサゴラス(紀元前340年頃の生まれ)は、動脈がプネウマという生きる活力を運んでいたと信じていた。これは生命や魂の源である温かい空気のようなものだという。

 遺体を解剖することはタブーだったため、古代ギリシャの医師のほとんどは、生きている人間を観察するか、動物の生体解剖または遺骸の解剖から体の柔組織の知識を得た。死んだ動物の動脈の中にはなにもなかったため、プラクサゴラスは、動脈と血管で循環器系の役割が分かれていて、前者はプネウマを運び、後者は血液を運んでいると結論づけた。つまり、動脈は生命維持に必要な体温を各器官にもたらしていて、このプネウマが脳や心臓に達すると、思考や行動が生まれるという。血管は単に栄養素を運んでいるだけとしたのだ。

 このプネウマの存在が真剣に議論されたのは、それから2000年近くもたってからだった。1508年頃、レオナルド・ダ・ヴィンチは書いている。「すべての血管と動脈は心臓から派生している。そのわけは、太い血管と動脈が心臓で結合しているところで発見されたからだ。太い血管は心臓から離れれば離れるほど、細くなり枝分かれしていく」1628年、ウィリアム・ハーベイ(1578~1657年)が、動脈と血管は同じ循環器系の一部であることを実証し、プネウマは完全に葬り去られた。

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