83歳筆者の〈極私的鑑賞ノート〉(3)...私のNo.1映画は「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ」 (6/9ページ)
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セルジオ・レオーネが実際に撮影したフィルムの上映時間は10時間に及んだ、という。これにカットにカットを重ね、日本やヨーロッパの一部の国で上映されたオリジナル版は多分、205分(劇場再公開版)であったろう。それでも、途中でintermissionの入るような長編であった、と記憶する。因みに筆者の視聴した(ディレクターズカット・バージョン完全版)は229分である。
上にも述べたように、この映画の評価は分かれるが、日本では1984年度のキネマ旬報ベスト・テン 外国映画ベスト・ワンに選ばれている。
筆者が『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』を「これまで観た映画らしい映画のNo.1として挙げて来た」理由について、少し述べてみよう。
先ず、"ぶらいおん"にとっては、音楽の要素が大きく影響する。この映画では、エンニオ・モリコーネの素晴らしい主題曲が英国アカデミー賞の作曲賞を受賞している。また、挿入曲が非常に多彩かつ効果的に使用されている。それらの具体例を挙げて置くと、「アマポーラ」、コール・ポーターの「Night and Day」、ジョージ・ガーシュインの「サマータイム」、アーヴィング・バーリンの「God bless America」、それに何とビートルズの「Yesterday」までが利用されていた。このことからも、この映画がカバーする年月の長さ(1920年代から1960年代半ばまで)が想像できよう。
筆者が映画らしい映画と考える作品を構成する(音楽のケースは上に述べたので、それ以外の)要素を幾つか挙げてみよう。
1.<時の流れを感じさせる幅のあること>...前述のような長い年月のスパン。この場合、必然的に俳優が、時の経過を全身で表現することになる。『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』のケースでは、それでも足りず、少年、少女時代と成人時代とを、実際には異なる、しかし、よく似た、夫々二人一組ずつの俳優が演じ分けている。
2.<日常とは異なる世界が取り上げられていること>...この映画の場合はギャングの世界だ。そこには我々の身の回りでは普通あり得ないようなバイオレンスやエロスに満ち溢れている。