AVが消える![後編] フリーライター・中村淳彦 (2/5ページ)
AV業界は『AV業界改革有識者委員会』の配下、監視下にある業者のみで、それ以外は関係がないという一線を引いたわけだ。これからはIPPAの審査にパスした認定AVだけがAVであり、それ以外はAVではないということ。“認定AV”だけが全国販売店やDMM、TSUTAYAなどに流通する。
気になるのは、その“認定AV”の内容である。
国家の抗議を受けているものの、現段階でAV業界は強気だ。基本的に現行のものを“認定AV”とする。AV女優たちが強要にあたらないか業界を挙げて細心の注意を払い、プロダクションが撮影現場に女優を斡旋して、女優は本番をする。その映像に基準を決めて、修整を加え、審査・販売される。
AVは35年前の創世記から今まで、グレー産業と呼ばれている。“認定AV”は強要問題をキッカケに、AVをグレーからホワイトにするという取り組みだが、業界は「現状のAVはホワイトである」と徹底抗戦する構えだ。
では、いったい今までのAVの、なにがグレーなのか。
まず、本番だ。1958年に施行された売春防止法は、不特定多数の相手から対償を受けて、男性器を女性器に挿入する行為を禁止している。売防法違反を回避するため、AVはずっと疑似セックスが主流だったが、'90年代前半に本番AVが現れて、数年後にはなし崩し的に本番が当たり前となった。AV業界は疑似に回帰するのではなく、現状維持を続けて「AV女優は売春婦ではない、演じる女優」と主張する。
それと、プロダクションに絡む様々な問題がある。昨年6月に大手プロダクションが摘発された労働者派遣法違反は、すべてのプロダクションに該当する。対応策としてプロダクションと女優は『模範契約書』なる統一の契約書を結び直し、AV女優はプロダクションに雇用される労働者ではなく、女優がプロダクションにマネジメントを依頼する業務委託という体裁にする。
これまでプロダクションは35年間、AV女優にメーカーから支払われる出演料を絶対に伝えないという姿勢を貫いてきた。さらに、女優同士の交流まで禁じて、人間関係をシャットアウトさせるマネジメントを実施。女優がプロダクションにマネジメントを依頼するとなると、プロダクションが著しく有利な立場に立つ現在の管理は通用しなくなる。