AVが消える![後編] フリーライター・中村淳彦 (3/5ページ)
AV業界がこの対応策を実現できるかは微妙だ。仮にできたとしても、政府や人権団体、女性団体が、それで納得するとは思えない。まだ、いくつもの乗り越えなければならない難問が現れることは間違いない。
そして、AV出演強要問題の根幹となるのは、スカウトである。
スカウトはAV女優を発掘して実際に出演させると、売り上げの15〜30%がスカウトバックという名目でプロダクションから支払われる仕組みだ。スカウトマンはAV出演させないとお金にならない。悪質なスカウトは、脅しや騙しを使って強引に出演させるケースも多く、深刻な出演強要に繋がっている。
長年、プロダクションは要求水準が高い単体女優の発掘を、スカウトに依存してきた。路上スカウトは'05年に改正された都道府県の迷惑防止条例で違法な行為となる。ただ、スカウトやスカウト会社は、すべてのAV業界の業者が配下に置かれる『AV業界改革有識者委員会』には入っていない。スカウトはAV業界ではない、ということだ。
'13年に大手メーカーからAVデビューし、渋谷の政府主催のパレードで被害を訴えたくるみんアロマさん(26)は、新宿でスカウトマンに「歌手になれる」と声をかけられ、ヌードモデルになり、最終的にAVデビューした。裸になったのは歌手になるためのステップという意識だった。
「大学在学中にヌードグラビアに出て、私はこんなことしていいのかな、自分は終わりなんじゃないかって不安があった。親に申し訳ないと思ったし、やっぱり裸の仕事をしたいわけじゃなかったから。でも、歌手になる夢を追いたい自分との葛藤があって、流されるまま撮影した。もし嘘だったら? どうしようって不安はあったけど、事務所やスカウトマンのことを疑っていたら前に進めない。とにかく信じようって思った」
テレビで活躍するAV女優も増え、芸能界とAV業界の垣根は低くなった。彼女のような芸能界に憧れる地方出身の女の子は、何も知らない。実際にテレビ出演するAV女優が存在する中で、言葉巧みに騙されてしまう。
「事務所とスカウトマンに、AV出演をずっと説得された。事務所は新宿のタワーマンションを買ってサウナ付きの部屋に住めるとか、そんなことも言っていた。