アメリカの猟奇的連続殺人犯、アルバート・フィッシュの中に潜むモンスターが爆発するまで (1/8ページ)
アメリカ犯罪史の中で、史上最悪レベルと言われているシリアルキラー、アルバート・フィッシュは、1910年から1934年までに400人を殺したと自供している。
肉を食べる目的で殺害したり、犯行が満月の日に行われたことが多かったことから「ブルックリンの吸血鬼」「満月の狂人」「グレイマン」の異名を持つ。
彼が実際に行った犯行は脚色されたフィクション作品よりも恐ろしいレベルなのだが、彼の生い立ちや子供時代の経験は心のうちに暗黒のインクを一滴ずつ落としていった。
そして、その闇の養分を吸い取った体内のモンスターは徐々に成長し、ついには表面化するまでとなる。
・10. 悲惨な子供時代
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アルバート・フィッシュは1870年5月19日、ワシントンD.C.でハミルトン・ハワード・フィッシュとして生まれた。
母親が幻覚を見るという症状を患っていたほか、重度の精神疾患を患っている親族が何人かいた。親族の少なくとも2人は精神病院で死亡している。
父親が死んだあと、フィッシュはセントジョン孤児院に預けられ、そこで教師からひどい虐待を受けるようになった。ほかの生徒が見ている前で、服を裂かれ、鞭で打たれたのだ。
心理学者は、のちに彼が行うようになった被害者を拷問で死に追いやるという行為は、このときの苦痛を他者に強いるためのものだと考えている。
母親がようやく職にありつくと、フィッシュは再び母親と暮らすようになった。だが、そのときにはすでに大きな精神的ダメージを受けており、11歳までおねしょをしたという。
彼は同年代の子供から”ハム・アンド・エッグ”と名前を揶揄されることがあったため、10代のときに、ハミルトンという名をアルバートに改名した。