サブカルの源流とは何か(ロマン優光) (6/9ページ)
全ての現在サブカルだと一般に見なされるような領域を町山さんが直接的に手がけたとか、オリジネーターだとか、そういうわけでは当然ありません。たとえば、編集者の故・青山正明や編集者でライターの故・村崎百郎に端を発するであろう悪趣味/鬼畜ブームの流れがあります。白夜書房(及び、そこから派生したコアマガジン)、ペヨトル工房、身売りする前の青林堂(及び、身売り後立ち上げられた青林工藝舎)、データハウスといった出版社が連なる別の流れです。
しかし、唐沢俊一と村崎百郎の関わりだったり、初期のムック本時代の映画秘宝には鬼畜ブームのテイストが残っていたりしたわけで、町山さんの編集者としての軌跡の中では関わっているわけです。そういうわけで、「町山智浩が編集者として扱ってきたもの、そしてそこから派生したもの/その愛好者」という風にわかりやすい感じで定義しておきたいと思います。
非常に大雑把ではありますが現代のサブカルの含む領域の定義をしたところで、サブカルの歴史というものを考えていきたいと思います。日本のサブカルチャーの歴史ではなくて、あくまでサブカルの歴史です。まあ、まったくサブカル前史に触れないのもなんなので、現代のサブカルに直接的な影響を与えた何組かのサブカルの原型――言うなれば、プロト・サブカルと言えるような文化を代表する雑誌やムック本――をあげておきます。『宝島』(町山在籍時まで)、初期の『別冊宝島』、『ビックリハウス』(パルコ出版)、『月光』(南原企画)、判型が小さい時期の『FOOL MATE』(フールズメイト)、『ガロ』(青林堂)、『夜想』(ペヨトル工房)、『銀星倶楽部』(ペヨトル工房)、青山正明が関わった80年代初期の『Billy』(白夜書房)といった特殊なエロ本などがあげられます。あと、『漫画ブリッコ』(セルフ出版)自体はサブカルに直接繋がるかどうかは微妙なのですが、大塚英志が編集長時代に発掘した漫画家・岡崎京子、『宝島』文化圏で活動していた映画イラストライターの三留まゆみを輩出したり、中森明夫が連載コラムを持っていたので、その中に含めていいかもしれません。
ただ、これらのものが現在のサブカルとイコールで結べるかと言えるかといえばそれは違います。