【小説】時間の奴隷/恋愛部長 (5/11ページ)
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恋愛部長の「ダメな恋ほど愛おしい」
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彼氏
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失恋
「言いにくいけど、・・・・・・一真君、それホントに忙しいだけなのかな?」その言葉に、舞は、じわっと胃液がせり上がるような感覚を覚えた。
「それって、・・・・・・」
舞は、うまく微笑むこともできない。
「だってさ、私の友達の彼氏でも、忙しい人はいっぱいいるよー? 会社経営してる人とか。IT系の人とか。でも、みんな、なんだかんだで時間つくってるし、好きな人には会いに行くって」
「言いにくい」、と言いながら、由佳はずけずけと痛いところをついてくる。いつもそうだ。学生時代から、由佳はいつも他人の恋を冷ややかに見てる風があって、普通は他人に言われたくないことも平気で言ってくる。本人は良かれと思っているのがまた厄介だ。
今日由佳に誘い出されるままにランチに出て来て、しかも聞かれるがままに近況や悩みを話してしまった自分を呪いたくなる。
「一真君はさあ、」
目をキラキラさせながら由佳は言う。
「舞のためには時間割けないってことでしょ?」ね? と念押しするように首をかしげる。
「つまり、もう舞は、今の一真君にとって、どうでもいい存在ってことなんじゃないのかな?」
ぐさり、と胸を刺されたような気持ちになる。
聞きたくない言葉を聞いてしまった。聞かなければよかった。一度聞いてしまえば、二度と心の中から消せない。そういう言葉がある。舞は、うつむいたまま黙りこくる。由佳は、今さらのように慌ててフォローした。
「もちろん、そんなことないって私は思いたいよ! でも目をそらしちゃいけないこともあるから。友達だから言うんだよ!」
舞は、ずきずき痛む胃を押さえて、席を立った。そして、「ごめん、帰るね」とだけ言って、なにかアワアワ言っている「友達」を置いて、喫茶店を出た。会わなければよかった。相談なんかしなければよかった。
ぐるぐると後悔だけがめぐる。
あとちょっとで崩れ落ちそうな心を必死で保ってきたのに。もうダメだ。決壊だ。舞は目を閉じて立ちすくんだ。
不安がまるで真夏の入道雲のように膨らんでいる。その底は真っ黒。
一真は、もう私を必要としてない。