【小説】時間の奴隷/恋愛部長 (10/11ページ)
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恋愛部長の「ダメな恋ほど愛おしい」
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片思い
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彼氏
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失恋
ずっと限界まで我慢して我慢して、なんとか関係を維持しようとするけれど、ある限界点を超えてしまうと、そこで決壊する。水がどっと甕から零れ落ちるように、もう二度と、関係を維持しようとは思えなくなる。
どんなに、泣いてすがっても、声の限り懇願しても。一度あふれてしまった水は、もう戻らない。それを舞は、一真との別れで、身を持って知った。
一真には、何度も何度も長い謝罪のメールを送った。「あんな風に責めてごめん。もう二度と言わないから」「忙しいのは分かってる。そんな一真を応援している」「別れるなんて考えられない。一真しかいない」心から、そう思って、涙ながらに何度も送った。
でも、そのひとつにも返事はなく、既読の文字だけが無情に連なって行った。始めは、まさかこんな簡単に別れるはずがない、と思っていた舞だが、3ヶ月もたつ頃に、ようやく、自分たちの関係が終わってしまったのだという事実に行きついた。そして、それを知って、改めてひどく泣いた。
一真が、本当はどう思っていたのか。今となっては、もう確かめるすべはない。でも、一真の友人の言葉を信じるならば、一真は、舞との別れは、舞への愛情とは何の関係もない、と言っていたということだ。
好きでなくなったわけではない、ただ、自分のせいで、恋人が苦しんでいるのに、自分にはそれを打開するすべがない。その事実に、打ちのめされたのだ、と。そしてそのすべてから、逃げ出したくなってしまったのだ、と。
そして、いま、舞は転職し、忙しい職場に配属になって、初めて、あの頃の一真の気持ちがほんの少しだけ分かったような気がしている。
忙しい時は、生命の危機なのだ。何よりも、毎日の生活を維持することだけが最優先。恋愛なんかにうつつを抜かしている場合じゃない。
舞は、今後の工程表を、PC上でチェックしながら、ため息をついた。今日までのアラートがついている項目を全部終えないと、帰れない。今日も終電には乗れないだろう。
連日の深夜残業で、眠くて、思考が麻痺して来る。そんな時は、ふと一真のことを思いだす。
たぶん、あの時の一真は、本当に余裕がなくて、恋愛だの、舞のことを考える余裕がなかったんだろう。好きだの嫌いだの以前に。