干支の時刻を描いた浮世絵。江戸時代の時刻を知れば江戸がもっと楽しくなる【その2】 (8/8ページ)

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このように遊郭の生活のふとした一部を切り取って作品にするということに、喜多川歌麿の観察眼を感じます。

丑の刻 「丑の時参り」画:鈴木春信 出典:メトロポリタン美術館

「丑の時参り」画:鈴木春信 出典:メトロポリタン美術館

上掲の「丑の時参り」という作品は、いわゆる“丑の刻参り”を描いています。「丑の刻」ということは現在の“およそ午前1時から3時”までということになります。若い女性が深夜の真っ暗な闇の中で、一般的には恋愛関係の嫉妬がもとで藁人形に釘を打ち憎い相手を呪い殺そうという怖い場景を描いているのです。

本来、丑の刻参りは本当に闇の中で行うので、女性は火を灯したロウソクを鉄輪に突き刺して頭に被り、白衣で行うものです。

しかし鈴木春信が描く「丑の時参り」はあくまでも楚々として、憎悪の欠片も見ることは出来ないのです。ただこれが憎悪や嫉妬を超えた表情だとしたら、それはそれで恐ろしい作品とも言えるのです。

その3「江戸の時刻の数での数え方」に続きます。

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