見知らぬ人の迷子の猫を心配し、探し回ってくれたその男性こそ、「はらぺこあおむし」の作者、エリック・カール氏だった (2/5ページ)
エリック・カール。この類まれな児童文学作家が亡くなった...
ずいぶん前のことだけど、私の飼い猫ジュリアン(私は彼のことを"シュムー"と呼んでいた)が、アパートからいなくなってしまって、すっかり気が動転してしまった。
アパートはニューヨークのブルックリン、ウィリアムズバーグにあって、家賃は安定していたけれど、大家は無責任な人だった。私の猫を逃がしてしまったのだ。
シュムーの写真を何枚かつけて「私の猫を見ませんでしたか?」というチラシを自分で作って、かなりの謝礼も出すと書き添えて、近所じゅうに貼りまくった。
チラシを拡散してすぐに、一本の電話を受けた。その男性はまるで自分のことのようにとても心配してくれて、私の猫を探しに行ってくれるという。
それから5日間、毎日朝も夜も、その見知らぬ男性は電話をくれて、猫は見つかったかと訊ね、自分で調べたことを報告してくれた。
男性は信じられないくらい親切だったので、私は思わず涙が出て、電話に向かって自分のことを含め、いろんなことを堰を切ったように話していた。
私には教育も、キャリアも、家族も、ボーイフレンドも、友だちもいなくて、捨て猫だったシュムーだけ、あの子が私のすべてだと。男性はじっとそれを聞いてくれた。