それ、火を消すより大事なの?平安京の火災と貴族たちの反応にびっくり (2/6ページ)
翌2月10日になって焼け跡を調査させたところ、崩れ落ちた左衛門陣舎の下敷きになって1名が焼死、1名が足を切断する重傷を負ったということです。
関係者に事情を訊ねると、左衛門陣舎が延焼した際「このまますべて焼け落ちたらもったいない、せめて柱だけでも回収・再利用しよう」と雑人(ぞうにん。召使い)たちが集まって柱を曳き倒しました。
それで建物が倒れ、先の被害を出したのですが、火事場でモノを惜しんで命を落としてはかえって損というものですね。
さて、すっかり火事も収まりました。そこで何か金目のモノは焼け残っていないかと探させたところ、丁子(ちょうじ。クローブ)や紺青(こんじょう。顔料)、麝香(じゃこう。香料)などが発見されます。
貴重品だから日ごろから防火対策がしてあったのか、あるいは咄嗟の判断で土に埋めて焼亡を免れたのかも知れませんね。
しかし、数えてみると麝香が20臍(へそ)ほど足りません。ほかのものが無事だったことを考えると、火事場泥棒と考えられます。
捜査させたところ、2月18日に小舎人秋成(こどねりの あきなり。姓不詳)が盗んだことが発覚。6臍は東宮(春宮。皇太子の御所)に埋め、残りは近江国(現:滋賀県)へ持ち出したとの事でした。
恐らく埋めた分はほとぼりがさめた頃に自分で換金し、持ち出した分は親族への仕送りだったのでしょう。火事場のどさくさに紛れて、とんでもない話です。