部屋中が物であふれてしまう「ためこみ症」の背後にあるものは? (6/10ページ)
強迫的に物をためこむ症状の増加は、私たちの肉体そのものと変化する物理的環境のとの相互作用によって、引き起こされるのではないだろうか?
例えば、食料を調理する習慣が始まると、もはや親知らずという歯は必要なくなった。そのため、私たち人間の口は、親知らずが生えてくるスペースがなくなるほど小さくなった。このように、社会形態と行動パターンが体を形作るのだと、スメイルは書いている。
サル、カラス、リス、カンガルー、ネズミ、ミツバチも皆、人間が何千年もそうしてきたのと同じように、物を集める生き物だ。
だがそれは、極寒の冬を生き延びるためだったり、飢餓を乗り切るためのサバイバル行為で、テレビでやっているゴミ屋敷番組の類とはまったく違う。
「役に立たない物を大量にため込むためこみ症は、この1~2世紀、とくにここ数十年の特徴のようだ」スメイルは指摘する。
言い換えれば、歴史や文化においてなにかが変化し、蔓延する精神疾患としてのためこみ症が浮上することになった。
物は、それらをため込む人にとって、特別な感情的意味をもつ、極めて個人的な特性を帯びている。そのため、それらを無下に捨てることなどできない。
それらの物は、その人個人の自意識そのものに織り込まれていて、"もし、これらを全部捨ててしまったら、自分にはなにも残らない"という感情を助長する。
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・物をためこむ人の心理
物を手に入れる段階は、まだこの病の前半部分にすぎない。
人は、今すぐに必要でないものに入れ込む。理由は、タダだったから、特別な体験を思い起こさせるから、いつか必要になるかもしれないから、なんとかうまいこと変身させれば、価値が高まるかもしれないからといったものだ。