部屋中が物であふれてしまう「ためこみ症」の背後にあるものは? (8/10ページ)
バージニア州フェアファックス郡に、ホーディング障害の対策委員会が初めて設立されたのは1989年のこと。
現在、米国には同様の組織が100以上あり、2020年までに、米国の人口の15%が65歳以上になり、ためこみ症の黄金時代となるとの予想もある。・高齢者や知能が高く創造的な人に多い
米国精神医学会によると、55歳から94歳までの人たちのほうが、34歳から44歳の若い人たちよりも3倍、ためこみ症が多いという。この病気は、10代で表れることもあるが、高齢になるほど症状がひどくなるという。
近しい人との死別、離婚、不明瞭な思考、経済的困窮などによっても悪化するそうだ。
人は長生きになり、自宅で老いるようになった。自宅は自由に好きなだけ物を集めることができる場所だ。
そうした傾向は、今は亡き配偶者によって制御されていたかもしれない。その配偶者の持ち物や、成長してとっくの昔に家を出ていった子どものものが、捨てられずにためこまれていることもある。
仕事、地位、人とのつながり、鋭い感覚、体力的な強さ、精神の鋭敏性など、その人の自主性が失われたときに、物をため込むという行為は、自分を支え、安心し、慰めややる気を感じるためのひとつの方法なのかもしれない。
心理学者、研究者、ソーシャルワーカー、公共衛生従事者、プロのまとめ役、防火管理者、バイオハザード清浄会社、運送業者など、ためこみ症を取り巻く業界が誕生している。
物をため込む行為は、どうしてこれほど悩ましいのだろうか?
害虫の被害や汚染物質などに対する本能的な反発はもちろんのこと、障がいのある人が自分の家族である場合、ひどいいさかいや、疲れる力仕事を伴うこともある。
ためこみ症は、一般の人にとっては理解しがたいものであるだけでなく、手に負えないものだ。
物をため込む人は、知能が高く教養があって創造的であることも多く、人から押さえつけられることを嫌がる。