「べらぼう」そうきたか!老舗ができないことをやる−−挑戦とアイデアの宝庫・蔦重の底力【後編】 (8/9ページ)
歌麿は、鬼のような母親に虐待され、まだ7歳なのに男相手に体を売らされ、搾取されてきた壮絶な過去の持ち主です。そして、江戸の大火事で家の下敷きになった母親を見捨てて逃げた罪の意識から、男女かまわずに体を売り、贋作作りで死んだように生きてた状態でした。そこから抜け出させてくれたのが蔦重です。
昔から兄のように慕っていた蔦重と一緒に、耕書堂の一員として暮らしている今の生活は、まさに夢のような毎日でしょう。
けれども、少年時代からずっと歌麿の才能を知り、有名な絵師にするのは蔦重の夢。まさに、そのチャンスが目の前に近づいてきたのに諦めるはずがありません。
「お前は蔦屋史上とびきりの『そうきたか!』になんの!」「お前の名をどんどん売ろう!俺がそうしてえの!」
普段はわがままな自己主張はしない蔦重が、本気で「俺がそうしてえの!」と言うのは、久しぶりですね。
鳥山検校の身請け話を受けるという瀬川に「俺がお前を幸せにしてぇの!行かねえでくれ!」と頭を下げたとき以来の「俺がそうしてえの!」です。
この言葉を、今度は、歌麿に言う蔦重。
瀬川は自身の力で幸せにすることはできませんでした。歌麿は絵師として、もっと幸せにしてくれ(史実を知っているとはいえども)と思ったシーンでした。
そして、「お前は蔦屋史上とびきりの『そうきたか!』になんの!俺がそうしてえの!」という蔦重。