夫婦間モラハラの「線引き」はどこ?──夫婦間のモラハラ(モラルハラスメント)に関する実態調査(第1報) (1/10ページ)
本調査(レゾンデートル社、n=9,378、2025年9月実施)は、夫婦間モラルハラスメント(モラハラ)に関する認識を分析したものです。結果、攻撃的行為(物を壊す・怒鳴る・侮辱)は性別・年齢・収入に関わらず8割前後がモラハラと認識。一方、無視・束縛・生活費制限・家事押し付けなどは認識に差があり、女性は生活・家庭関連に敏感、男性は攻撃的行為に限定的でした。世代別では若年層はプライバシー制約を受容しがち、年齢が高いほど厳しく認識。年収別では低所得層は容認傾向が強く、中高所得層で認識が高まるが高収入層ではやや低下。夫婦間モラハラの“線引き”は普遍的に一致する部分と属性で分かれる部分があることが明らかになりました。
1. はじめに
「モラハラ」という言葉を耳にしたことはありますか?
正式にはモラルハラスメント(Moral Harassment)といい、言葉や態度によって相手の心をじわじわと傷つける“見えない暴力”の一種です。身体的暴力とは異なり、証拠が残りにくいため、被害者自身が気づきにくく、また周囲からも発見されにくいという特徴があります。
この概念を広めたのは、フランスの精神科医マリー=フランス・イルゴイエンヌが1998年に出版した著作『モラル・ハラスメント』とされます(※1)。日本でも2000年代以降に「モラハラ」という略称が広がり、近年では離婚相談や家庭裁判所の現場で使われることも増えました。法務省の協議離婚に関する実態調査(※2)によれば、離婚理由として「性格の不一致」「精神的な暴力」が上位に挙げられており、モラハラは現代の夫婦関係を揺るがす深刻なリスクになっています。
恋愛感情を経て築かれたはずの夫婦関係が、なぜ加害と被害の関係に変わってしまうのか。どのような行為がモラハラに当たるのか。そして、それをどれほどの人が実際に経験しているのか。これらは「夫婦という関係のあり方」を問い直す重要なテーマだと言えるでしょう。