『べらぼう』総集編を振り返り!死の間際まで書を以て世を耕しエンタメを次世代にバトンタッチ【蔦屋重三郎・後編】 (6/10ページ)
けれども、“田沼を批判しているようで実は定信を揶揄う”本を出したものの、定信には通じず逆に自分を励ましてくれていると思われてしまう始末。
そこで、恋川春町(岡山天音)は、より過激な政権批判本を書くのですが、鶴屋が懸念したように定信の目に留まり激怒させてしまいました。春町は自分に理解をしめし励ましてくれていた藩主・松平信義(林家正蔵)とお家を守るために切腹。
松平信義(林家正蔵)の口を通して、定信に伝えた蔦重の「戯ければ腹を切らねばならぬ世とは、一体誰を幸せにするのか」も、心に残る言葉でした。
一方的に政治が民を押さえつけ「働け働け働け、休むな遊ぶな。倹約して身を慎め。忠義心を持て」など、そんな世の中は誰も幸せにはなりません。
抗うためにその後、教訓読本と称した吉原遊びの本を出して、逮捕された蔦重ですが、取り調べにわざわざ定信がでてきたのには驚きました。
老中といえば、現代では総理大臣くらいのポジションにいる人なので、普通はその姿を見ただけで萎縮してしまうでしょう。
けれども、田沼政治の自由な空気を消し、多くのクリエーターたちの筆を折り、恋川春町という天才を死に追いやった定信に向かい、ちっとも臆することなく舌鋒鋭く強烈な皮肉を連発する蔦重。肝が座った命懸けの大戯けでしたね。
ここで「へえ、おっしゃる通りで」と頭を下げてしまったら、今まで「吉原をもっといいところにする」べく本を作ってきた志に背いてしまいます。