皇室の祖神は天照大神ではなかった──古事記・日本書紀から最初の皇祖神・高御産巣日神の正体を考察 (4/9ページ)
神武天皇。『神武天皇御尊像(北蓮蔵画)』(Wikipedia)
では、天照大神と高御産巣日神とは、どのような関係にあったのでしょうか。
一般に、邇邇芸命に地上世界への降臨を命じた「司令神」は天照大神であると理解されています。しかし、この点については『古事記』と『日本書紀』とで記述が異なっています。
『古事記』では、天照大神と高御産巣日神の二神が共同して命じたとされているのに対し、『日本書紀』では高御産巣日神が単独でこれを行ったと記されています。つまり『日本書紀』の記述に従えば、地上世界を治める命を下した司令神は、高御産巣日神であったということになります。
さらに、天孫降臨に関するその他の伝承を見ても、天照大神が単独で司令神として登場する例は、わずか一例にすぎません。このことから、『記紀』成立以前の段階では、高御産巣日神を司令神と位置付ける伝承の方が主流であった可能性がうかがえます。