なぜ皇室典範に「譲位」はなかったのか?上皇陛下の生前退位で浮かび上がった明治政府の思惑 (7/7ページ)
明治維新の指導者たちにとって、天皇は新政府の正統性を示し、国家統合を進める上で欠かせない存在であった。そのため、天皇を政治権力の象徴として位置づける制度設計が進められたのである。こうした考え方のもと、天皇自身の意思による譲位制度は、皇室典範には盛り込まれなかったのである。
皇室典範に譲位規定が設けられなかった背景には、伊藤博文ら明治政府の制度設計が色濃く反映されていた。その思想は戦後に制定された現行皇室典範にも引き継がれていくことになる。
もし、多くの国民が心から天皇制と皇室の安泰を願うのであれば、今後において『皇室典範』がどのように再構築されていくのか、注意深く見守っていかなければならないだろう。
※参考文献
笠原英彦著 『皇室典範―明治の起草の攻防から現代の皇位継承問題まで』 中公新書刊
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