【小説】国芳になる日まで 〜吉原花魁と歌川国芳の恋〜第28話 (6/13ページ)
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「絵師?画号は?」
みつが訝しみながら訊くと、
「申し遅れやした、あーしゃア英泉。渓斎英泉(けいさいえいせん)ッてんのさ。」・・・・・・
「え!」
その名を聞いて一番に飛び上がったのは、国芳だった。
渓斎英泉。
今、浮世絵の流行の先端をゆく名前である。
この人物の出現で、江戸の美人画の流行はがらりと一変したと言っても過言ではない。
鳥居清長(とりいきよなが)に代表される鳥居派、その後大首絵で一世風靡した喜多川歌麿、または文化期に流行した英泉の師である菊川英山(きくかわえいざん)などが描いた、ひょろりと細く嫋やかで上品な美人画の時代は、この渓斎英泉の手によって幕を引かれた。