【小説】国芳になる日まで 〜吉原花魁と歌川国芳の恋〜第32話 (4/8ページ)
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今までめえが見た事もねえような面白エ絵に仕上げてやらア」
「うん」
「まずは、五枚出す。それが当たりゃアどんどん続きを出して、今までに見た事もねえくらいでっけエ揃物になるって計画だ」
「本当・・・・・・」
「安心しな、かならず当ててやらア。この吉原でも、皆がわっちの錦絵を買って集めたり飾ったり眺めたり、そんな光景が当たり前になるぜ。そしたらわっちゃア、めえに似合う豪奢な仕掛を染め上げて、大金持って今度は表門から正々堂々めえを迎えに来る。めえはその仕掛けを着て、わっちのもとに最後の花魁道中をすりゃアいい」
「夢みたい」・・・・・・
みつは眉をハの字にして微笑した。
「夢で終わらせねえ」。
「絶対よ」
「ああ、絶対。絶対だ。早いうちにかならず、かならず迎えに来る。だから、めえにゃア本当に苦労を掛けるが、それまでは何とか、紫野花魁として良い子に待ってな」
「うん。あたし、平気だよ」
「次にわっちの姿があの大門の向こうに見えたら、そッから先ゃアずうっと一緒だ」
「うん・・・・・・!」
みつは目をきらきらさせて頷いた。
「これ、交換だ」
国芳が、毎日欠かさず首から下げていた自分の掛け守りをしゃらりと外した。