被災実態から乖離した東電の賠償 / 実損8億円に対し、わずか1600万円の和解案 / 原発20km圏内『凍天®』製造販売元 もち処木乃幡の現状 (10/13ページ)
原発事故による風評被害で廃業する事業者の話を、日々耳にする毎日でした。
考えに考え抜いて私たちが出した結論は、登記上の本店所在地を福島県南相馬市に残したまま、宮城県に新工場を建て、原材料を一時加工し、福島県と宮城県の各店にて最終加工し販売するということでした。
『凍天®』の商品力と知名度により銀行各行から前向きなご支援をいただけました。2014年2月に、4億9000万円の融資を受け、工場を開設しました。その多額の融資は、東京電力からの賠償を前提としたものでもありました。
しかし、東京電力からは誠意ある対応がありませんでした。
営業損害賠償は2012年8月より始まりましたが、営業損害としての請求額の6割ほどしか賠償されませんでした。そのとき支払われた補償金は、震災前に購入し廃棄するしかなかった資材、原材料などの支払いで全て消滅しました。
私たちは新工場の移転費用及び増加利息・保証料の賠償を、震災直後より東京電力に対し直接、また原子力損害紛争解決センター(ADR)への申立てを通じて、弁護士と共に度重なる交渉を続けてきました。
しかし長年の交渉の末、前出の様な1/50というあまりにも低額な和解案が提示されました。
いったい私たちのような原発20km圏内の食品メーカーが、会社を継続し、事業を再建する為に原発20km圏外に移転し、新工場を建設すること以外、他に選択肢はあったのでしょうか。
株式会社もち吉様や金融機関様はじめ、多くの取引先企業様、関係会社様からの辛抱強いご支援をいただきながら、またマスメディアや、『凍天®』ファンのお客様、著名人の方々の積極的な発信・応援にも支えられながら、この長い長い持久戦をなんとか今日まで持ちこたえてまいりました。
しかしこれは、あまりにも納得しがたい和解案です。
被災した法人に対する東京電力の賠償は、事業者の存亡に直結します。
実際に多くの事業者が東電の賠償を待ちつつ体力が尽き、倒産していきました。
私達にはもう時間がありません。