被災実態から乖離した東電の賠償 / 実損8億円に対し、わずか1600万円の和解案 / 原発20km圏内『凍天®』製造販売元 もち処木乃幡の現状 (4/13ページ)
一時帰宅で目にしたのは、体調30センチ(尻尾も入れると50センチ程)もある大ネズミの走る姿と周囲をザワザワ...と取り囲みうごめく音、直径2mの黒い円状に蜷局を巻いた数十匹の青大将、セコムに録画されているアライグマ・ハクビシン(壁には穴が空き、天井裏をドドド…と走る音)でした。そして、それらの排泄物が床・壁・天井に散乱し、染みつき、したたり落ち、無残に朽ちていくかつての事業場の姿でした。
震災からわずか9ヶ月後の2011年暮れの時点で、既に食品衛生法の施設基準から逸脱し、南相馬市猟友会による害獣駆除を入れましたが(当社の周りで、アライグマを6頭、ハクビシンを4頭捕獲、イノシシを7頭駆除したと報告がありました)、食品を作る工場として絶望的、到底使用できる様な状態ではありませんでした。
食品を取り扱う事業者であれば、こうした状況を目の当たりにして、再びまたこの設備を使って食品を作ろうという判断をするでしょうか?
よしんばそうした事業者がいたとして、保健所の営業許可は下りるでしょうか?
私たちは、お客様に安心安全な食品を製造し届けることに責任を持つ食品製造事業者として、そのような選択は毛頭考えられませんでした。
ほんの数ヶ月前まで、自社の長い歴史を積み重ね、未来への夢を叶える拠点であった、愛着ある南相馬の本社工場を、私達は断腸の思いで諦めざるをえませんでした。
(2)東京電力からの工場取得費用等の賠償を待つ
原発事故後、福島の農水産物や食品に対する風評被害は社会問題となっていました。
苦渋の選択ではありましたが、福島のお客様のみならず全国のお客様に安心して食べていただき、会社を復興させ福島にも恩返しをしようと、2014年2月に、宮城県名取市へ4億9000万円の総工費にて自社工場を開設いたしました。
工場用地取得費と建設費、設備購入の為、銀行から6億円の融資を受けました。
東電の原発事故によるあまりにも突然で選択の余地がない強制退去により、一瞬で全てを失った私たちは東電から当然賠償が下りると期待していました。