ネットのトレンド研究から、「やさしい世界」を作りたい-武蔵大学・粉川一郎教授の研究 (7/11ページ)
研究の「面白いところ」と「つらいところ」
――先生の研究の面白いところはどのような点ですか?
粉川教授 それは単純で、みんなが当たり前だと思っていることが当たり前ではない とわかる点ですね。実際に調査を行ってみると、世間で識者がしたり顔で語っていることは、実は根拠がないことであるとわかります。
例えば10年くらい前に「麻生太郎という政治家がネット上で人気があるのはなぜか?」という研究もありました。ネット上で「オレたちの太郎」なんていわれていた時代です。世間では「アニメや漫画が好きだから」なんて言われていましたが、「それは本当なのだろうか?」ということを研究しました。
――それは面白そうですね。
粉川教授 この「本当なのだろうか?」が大事なのです。ネット上で起こっている事象の背後にあるもの、本当のことを「エビデンス」を踏まえて見つけるわけです。
結論からいえば、麻生太郎の人気は別に「アニメや漫画が好きなこと」とは関係はありませんでした。彼の発言姿勢のほうが、ずっとネットのアクティビティを作り出していたんです。
定量的な研究を行って「事象の裏側にあること」を知るのは面白い ことなのです。
恐らくこのような社会科学の分野の方が、他の学問よりも「世間の気付いていないこと」に気付きやすいんですよ。それが、社会科学の面白さといえるかもしれません。
また、このようなネットワークの研究というのは、学生たちも普段からSNSを利用していますので、データにアクセスしやすいという特徴があります。これも面白い点といえるでしょう。
――では、逆につらいことは何でしょうか?
粉川教授 期待したとおりには進まないことですね(笑)。調査・分析を行っても仮説検証がうまくいくとは限らない。