我々が現実にある最大の脅威に対応できない10の理由 (2/15ページ)
ハーバード大学の心理学者ダニエル・ギルバート氏は説明する。
人間は目の前にある、見ること聞くことのできる脅威には対応できるよう進化してきた。しかし、私たちの感覚を刺激しないステルス脅威に対処するのは苦手だ。
「あらゆる哺乳類と同じように、人間も明確で今そこにある危機に対処するのは得意なのです」
確かに人類は氷河期によく適応して生き延びた。大きな脳のおかげで、私たちの祖先が生きていた環境をうまいこと切り抜けることができた。
だが残念なことに、私たちはなにをしたのだろう?
脳がまだ完全に適応できていない、まったく新しい環境を作り出したのだ。言い換えれば、私たちの行動は、ほとんど認識することのできない長く続く脅威を新たに産み出したということだ。
こうした脅威は空気中のウイルスや、地球を熱し、食料源を破壊してしまう大気中の分子のようにとても小さく目に見えないものだ。
ギルバート氏によると、人間は音もなく迫り、はっきりと感知できない脅威にうまく対応することができない。
私たちは危険を察知するのに自分の感情に頼っている。テロや中絶に多くの人がヒステリックになるのはそのためだ。
こうした脅威は感情に訴えかけ、正義を振りかざした道徳的な怒りを煽る。ウイルスや気候変動などの脅威も、私たちの感情を刺激するはずなのに、そうはならない。
気候変動ははっきり目に見えないし、聞こえないからだ。
ウイルスには顔がないため、道徳的な怒りの対象にならないのだ。