大河「べらぼう」編集者の正論が心を削る…蔦重の殺し文句に惹かれた春町、鱗の旦那が託した“夢”を考察【後編】 (3/11ページ)
作家が自分で書きたいものではなく、世の中の時流やマーケットに合わせたものを書け……確かに数字を伸ばすことを使命とする、編集者目線としては正論です。
ベテランの作家に、「あなたの作風は古くてウケない。軽いタッチでいいから、今時のわかりやすいものをかかないと売れない」というのも間違ってはいないのでしょう。
鶴屋喜右衞門は、いかにも編集者としてはズバズバとものを言う優秀な人という感じです。けれども言葉は正しいのですが、作り手のやる気や自信を削ってしまうもの。
「この編集とは合わない」と感じつつも、恩義のある鱗形屋の手前、喧嘩して袂を分つわけにもいかない。けれども、自分の作風や描きたいものを曲げて押し殺してまで作品を作る意味は見出せない……そんな春町の苦悩が、リアルに感じられた場面でした。
江戸時代も令和の現代も「売れる本作り」重視の売る側と「いい作品を作りたい」作り側の葛藤は同じだなと、しみじみ感じます。