【小説】国芳になる日まで 〜吉原花魁と歌川国芳の恋〜第31話 (14/19ページ)

Japaaan

 

 

「さア、国芳。俺の倅にゃなれねえと分かったら、もう帰りゃがれ。どこへでもひらひら飛んでゆけ。異国の浮世絵師ィ超えるまで、絶対会いに来るんじゃねえぞ!」

 

 

あ、と雷震は付け加えた。

 

 

「この絵はもらっとく。気に入った」

 

 

英泉が持ってきた国芳の絵数枚を、買うという。雷震は国芳に、ゴミの山から引っ張り出した九六銭を投げつけた。

 

 

「気に入ったわりに、しょっぺえなア」

 

 

英泉が口を挟むと、

 

 

「うるせえ、これでも精一杯だ」

 

 

「じいさん」、

 

 

国芳は銭を受け取り、にっこりした。

 

 

「ありがとう。わっちゃア、一生懸命描くよ」。

 

 

 

 

おう、と答えた雷震の間抜けた顔が、何故か国芳の胸に残った。

 

・・・・・・

 

 

「それにしてもよ、」

 

 

帰り道、ぽつぽつと歩きながら、国芳はそう言って首をひねった。

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