【小説】国芳になる日まで 〜吉原花魁と歌川国芳の恋〜第31話 (7/19ページ)
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鉄さん」
「なあに言いやがる、俺のこたア、雷震(らいしん)と呼びゃがれ」
老人の言葉に、英泉は呆れ声を出した。
「鉄さん、あーた、またア名前変えたんですか」
「ああ。前の名ア五両で売れたわ。その金で、あれを買った」
雷震が指さした部屋の奥に目をやると、
「あ、異国の絵だ!」
国芳は机上に広げられたその絵に飛びついた。
「お前、西洋画が分かるか」
「わかるも何も、大好物でさア。こちとら苦心して、銅版画集めようとして四苦八苦ですよ」
「そうか、分かるか。なら話をしよう。それア、銅版画とはまた随分違げえだろう」
「ああ、またこれア肉筆画のような・・・・・・」
雷震はしげしげ眺める国芳の傍まで来て、ふふんと笑った。
「そうだよ。それアまあ、俺たちで言やア肉筆画みてえなもんだな。筆に水をつけて異国の絵の具を溶いて描くのさ。