【小説】国芳になる日まで 〜吉原花魁と歌川国芳の恋〜第31話 (9/19ページ)
- タグ:
-
小説
「何でこねえに江戸の事を細かく描けるんだ?これを描いた異国人は、江戸に住んでるんですかえ」
雷震は弾けるように笑った。
「それを描いたなア、俺だ」
「え!?」
国芳は飛び上がった。
「ほんに、じいさんがこれを描いたのかよ!?」
「ああ、シーボルトが次回江戸に来る時に渡すように頼まれてな。異国の絵を真似て描くなア、これほど愉快な事アねえぜ」
「すげえ。じいさんはまるで司馬江漢、いや、それ以上だ・・・・・・!」
司馬江漢「三囲景」国立国会図書館蔵
司馬江漢は江戸を代表する洋風画家の一人である。国芳は膝を叩いて感心し、改めて一枚一枚を手に取った。
「なあ、国芳」
すげえ、すげえと繰り返す国芳を雷震は呼んだ。
「てめえ、これからの浮世絵をどう思う」
「ええっ?浮世絵?」
「テメエが描いてるもんだ。