【小説】国芳になる日まで 〜吉原花魁と歌川国芳の恋〜第31話 (8/19ページ)

Japaaan

山オランダ人のシーボルトてエのから買い上げた」

「すげえ、本物の異国の町が目の前にあるみてえだ」

その絵の中では、水は触れれば濡れそうなほど水らしく透き通り、空は今見上げる空と違わずどこまでも広がりがあり、木はより木らしく、人はより人らしく、その絵の中のすべてがまるで本物のような様相を呈していた。

「そうさ、俺達の絵とは大違いよ」

雷震が自嘲気味に言った。

「あ」、

国芳が他にも西洋画を見つけて、手元に引き寄せた。

「こっちゃア、日本橋じゃねえか・・・・・・!」

画像:葛飾北斎「江戸日本橋水彩画」ライデン国立民族学博物館蔵 出典 毎日新聞

確かに西洋画の筆致で、日本橋の魚河岸に押送船が次々に横付けされて活気づく様子が、精妙に描かれているのである。それだけではなかった。他にも何枚か同じように江戸の風景画が並び、月明かりの品川宿や、雪降る赤羽、橋場の渡し、両国橋などもまるきり西洋画風に描かれている。国芳は驚いて首をひねった。

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