最終話【小説】国芳になる日まで 〜吉原花魁と歌川国芳の恋〜第33話 (1/15ページ)
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【小説】国芳になる日まで 〜吉原花魁と歌川国芳の恋〜第32話 文政十年、正月二日。長い長い永遠の夢が、千切れて落ちて、踏み付けられた。
二代歌川広重「燕」ボストン美術館蔵
■文政十年、正月
国芳は、吉原遊廓の大門を飛び出して駆けた。
腕には大きな花魁の仕掛(しかけ)を抱え、時には転んで血を流しても、破茶滅茶に駆けた。
鬢の毛は逆立ち、目は紅の涙が流れそうな程に血走っていた。
どこを目指しているのかも分からない。
ただ、ここでなければいい。
吉原遊廓(ここ)の存在しない何処かに、逃げ出したかった。
歌川広重「名所江戸百景 よし原日本堤」国立国会図書館蔵
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欲しいものは、全て手に入った。
