最終話【小説】国芳になる日まで 〜吉原花魁と歌川国芳の恋〜第33話 (7/15ページ)

Japaaan

生きている。

生きて、そして、その先で誰よりも幸せになるのだ。

(わっちと二人で、幸せに・・・・・・ッ!)

・・・・・・

大門を飛び出し訳も分からず来た道を駆け戻り、気がつけば本所一ツ目橋の上に居た。

板目のひとつが浮いており、そこに足を引っ掛けて国芳は思わず仕掛を取り落とした。

(あっ)

その瞬間国芳は滑って転倒し、そのまま動けなくなった。

・・・・・・・・・・・・

・・・・・・

どれほどうずくまっていたろうか。

「国芳はん」。

よく知っている小さな手が、肩を叩いた。

「国芳はん」

顔を上げると、女がそこに居た。

「おみつ・・・・・・!」

国芳は思い切り抱き締めた。

感触が、確かにあった。

「やっぱり、生きてたんじゃねえか!」

その言葉にみつは一言、

「・・・・・・ごめんね」

と首を横に振った。

「駄目だ」

「ごめんね、国芳はん」

「駄目だ、許さねえ!」

国芳は、駄々をこねる子どものように、地団駄を踏んだ。

「なんでも許すって言ったじゃない」

「死ぬ事も、許すなんて言ってねえ!」

「それはおかしいよ。だってあたしたち家族、でしょう?」

「許さなきゃ、いけねえのか」・・・・・・、

国芳は唸るように言った。

「死ぬ事も、許さなきゃいけねえのか・・・・・・!?」

みつはただ、無口に微笑むばかりであった。

「めえを失ってもまだ、わっちゃア知りもしねえ誰かを笑わせなきゃいけねえのか。希望だの夢だの、そんなもんを描かなきゃいけねえのか。そんなのアまっぴらごめんだ。わっちゃア、めえが居ねエ世の中なんざア!」

どうでもいい・・・・・・!

そう言いかけた国芳のくちびるを、みつのくちびるがそっと塞いだ。

「馬鹿ねえ。

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