【小説】誰かと誰かと私のあなた/恋愛部長 (5/13ページ)

ハウコレ

そして、思いっきり甘い時間を過ごしたかと思うと、ふいといなくなってそれきりまた何日も音沙汰がないことがしょっちゅうだった。

望海はそんな佑のクールなところもたまらなく好きだった。恋人にべったり貼りついてくる男は苦手だ。自分の機嫌をうかがうような、愛想笑いを浮かべた男なんて最低だ。

いつだって、風のようにふいっと消えてしまうような、佑のような男が好きなのだ。気まぐれに愛をくれて、それっきりになってしまっても。

自分以外に、佑と付き合っている(と自分では思っている)女を、望海は何人かよく知っている。メールで名前を見かけて、過去までさかのぼって確かめたのだ。そのうちの1人は、サナエと言った。

サナエの存在を知って半年ほどだが、最近では他人とは思えない。なぜなら、サナエのインスタグラムをフォローしてチェックしているからだ。

サナエのインスタのアカウントは、佑宛てのメールのお尻のほうに、「インスタ始めたよ♡見てね」というフレーズ入りのテンプレアドレスがついていて知った。

毎日、ふわっとしたソフトフォーカスやハートがいっぱい飛んだフィルターに囲まれた、何気ない日常風景を投稿しているので、それをのぞき見するのが、望海の日課になった。

サナエは、時々思わせぶりな投稿もする。明らかに部屋に男の気配がある写真をアップして、#今日は部屋で#手料理#こんな休日が好き なんてハッシュタグを並べている。

そんな写真は、わざわざ大きく拡大して、細部まで見てしまう。写真の端に写っている膝は、お気に入りのチノパンをはいた佑のものだ。この部屋の隅にかかっているジャケットは、佑のいつものミリタリーだ。

カップの中の、牛乳がたっぷり入ったカフェオレは、きっと、苦いものが嫌いな佑のものだろう。そんな風に、写真の端々に、佑の気配を見つけて妄想してしまう。

この、レースのラグがかかっているベッドに、佑は腰かけて、サナエといっしょに食事をしたりするんだろうか。望海とするように、ベッドに2人で沈み込んで、思い付きのようにセックスをするんだろうか。

時々サナエは情緒不安定になる。そんな時は、望海は、サナエもまた、自分以外の女の存在に気付いているのだろうと確信する。

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