「すべてが便利でなくていい」京大・川上教授が研究する、世界をよくする「不便益」とは? (4/8ページ)
※『不便益のススメ: 新しいデザインを求めて』(岩波書店)
――不便益の研究は、私たちの生活に何をもたらしますか?
川上先生 不便からは、8つの益が得られると考えています。
・主体性が持てる
・工夫できる
・発見がある
・対象が理解できる
・安心・信頼できる
・上達できる
・私だけ感が得られる
・能力低下を防ぐ
便利になると受動的になり「やらされている感」が強まりますが、不便なものは主体的に動けることが多いため、自分で行動しているという感覚が得られます。不便だからこそ、自分の頭を働かせて工夫しようとするのも益の一つですし、何か工夫をするということは、その前段階で何らかの発見をしたはずなんですね。
――対象が理解できるというのはどういった意味ですか?
川上先生 便利なものって「中身がどうなっているのか」がわかりにくいと思いませんか? 例えば、自動車の「オートマ(AT)」はペダルを踏むだけで走るので便利ですが、なぜアクセルを踏むだけで変速してちゃんと走るのか分からない人が多いと思います。
一方、「マニュアル(MT)」は手間が掛かりますが、クラッチを切ってギアを変え、またクラッチをつなぐといった、どうやって変速しているのかの仕組みがわかります。このように、不便なものは理解しやすいのです。
――確かに便利なものは、どんな仕組みで動いているのか分からないことが多いかもしれませんね。
川上先生 仕組みを理解することは安心・信頼にもつながります。