日本の漫画、アニメ、特撮を歴史学の観点でひもとく! 創価大学・森下達博士の研究 (5/8ページ)
――先生の研究が社会に与える影響についてどのようにお考えでしょうか?
森下先生 そうなったらいいな、と思うことを述べてもいいでしょうか?
――もちろんです。ぜひお願いいたします。
森下先生 今、日本のポピュラー・カルチャーは激動期にあり、これまでの立ち行き方が成立しなくなっています。例えばマンガ一つ取っても、これまでは週刊マンガ誌に寄り添って発展してきました。しかし、雑誌が売れない、単行本が売れないといった時代の趨勢(すうせい)によって、大きな変化を余儀なくされています。
――出版業界は苦境に立たされていますね。
森下先生 また、マンガではキャラクター人気が立って、それがより大きく評価されているという変化もあります。もちろんキャラクター人気が悪いと言っているのではありません。ただ、キャラクターと物語は寄り添うものであるはずで、それが乖離(かいり)するのは気になります。
最近ではキャラクターに過度に注目することで、大事な物語性が失われている面があるのではないでしょうか。マンガは「物語メディア」ですから、物語性を持っていてほしいですね。物語性の重要さについての自分の研究が、マンガのこれからに何か絡んでお役に立てれば、と考えています。
――日本を代表するポピュラー・カルチャーの一つである特撮についても、庵野秀明監督が失われていく日本の文化を危惧するといった主旨で言及されていますね。
森下先生 そうですね。これまで現場の職人さんによって受け継がれてきた技術が失われようとしています。ただ、その代わりにCGのような新しい技術が特撮に取り入れられ、これまで以上にスペクタクルを視聴者に感じさせるように変化しています。